戦没者の慰霊には、大きく分けて二つの流れがあります。ひとつは、ご遺族が集まってつくる遺族会という「人のつながり」。もうひとつは、英霊をお祀りする神社という「祈りの場」です。この二つは別々の組織ですが、慰霊祭や追悼式の場で長く手を携えてきました。
一般財団法人 日本遺族会
全国の都道府県遺族会が加盟する連合組織。国への要望、慰霊巡拝などを担う。
靖國神社
明治2年に「東京招魂社」として創建。明治12年に靖國神社と改称。
奈良県遺族会ほか各都道府県の遺族会
県内の市町村遺族会をまとめ、県の追悼式や語り部事業を進める。
奈良県護國神社ほか各道府県の護國神社
その県ゆかりの戦没者をお祀りする。奈良県は昭和17年に鎮座。
宇陀市遺族会本会ほか各市区町村の遺族会
ご遺族にとっていちばん身近な単位。支部は置かず、市内全域を一つの会として運営している。
市内の忠魂碑・慰霊碑
出征者を送り出した集落が建てた碑が市内の各所にある。地域の氏神の境内にあるものも多い。
ここを間違えやすい、という3つのこと
1
護國神社は靖國神社の「支店」ではありません
本社と分社のような上下関係はなく、それぞれが独立した宗教法人です。ただ、成り立ちを同じ「招魂社」に持つ、兄弟のような関係です。
2
遺族会は宗教団体ではありません
遺族会はご遺族の相互扶助と英霊顕彰のための団体で、神社とは別の組織です。慰霊の場で協力しますが、上下の関係にはありません。
3
上部団体は「命令する組織」ではありません
日本遺族会・県遺族会・市町村遺族会は、加盟によって結ばれた連合です。それぞれの会が自分たちの判断で活動しています。
全国
日本遺族会
- 国への要望(特別弔慰金・恩給などの制度)
- 旧戦域への慰霊巡拝
- 全国戦没者遺族大会の開催
- 戦争体験の記録・継承事業
都道府県
奈良県遺族会
- 県戦没者追悼式への参加・協力
- 護國神社の春秋例大祭への参列
- 語り部事業・記念誌の発行
- 市町村遺族会の連絡調整
市区町村
宇陀市遺族会
- 宇陀市出身戦没者追悼式
- 市内の忠魂碑・慰霊碑の清掃と維持、碑前祭
- 戦没者名簿の保存と引き継ぎ
- 会員同士の交流と相互扶助
- 県・全国の行事への参加
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明治元〜2年1868〜69
招魂社のはじまり
戊辰戦争の戦没者を祀るため各地に招魂場が設けられ、明治2年、東京九段に「東京招魂社」が創建されます。
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明治12年1879
靖國神社へ改称
東京招魂社が靖國神社と改められ、別格官幣社に列せられました。
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昭和14年1939
全国の招魂社が「護國神社」に
内務省令により4月1日、全国131社の招魂社が一斉に護國神社と改称。同日、34社が内務大臣指定護國神社とされました(のちに計51社)。今日の「一県に一つの護國神社」という形は、このときに整えられたものです。
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昭和15〜17年1940〜42
奈良県護國神社の鎮座
昭和14年に建設奉賛会が組織され、高円山の西麓で造営が始まります。昭和15年10月に創立が許可され、昭和17年9月に社殿が完成。同年10月13日、内務大臣指定護國神社となりました。
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昭和21〜27年1946〜52
占領期の改称と復称
占領下で神社は国の管理を離れ、一宗教法人となります。「護國」の名を外す改称も相次ぎ、奈良県護國神社も昭和22年12月に「高円神社」と改められました。講和条約の発効を受け、昭和27年7月に元の社号へ戻っています。
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昭和22年1947
遺族会のはじまり
遺族への公的な支援が途絶えるなか、ご遺族が助け合うために各地で会が生まれ、それらをまとめる形で「日本遺族厚生連盟」が結成されました。
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昭和28年1953
財団法人 日本遺族会へ
3月11日に財団法人として認可され、名称も日本遺族会に改まります。目的も「英霊の顕彰」と「戦没者遺族の福祉増進」として整えられました。
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昭和20〜30年代
県・市町村へと広がる
各都道府県に遺族会が置かれ、その下に市町村ごとの遺族会が組まれていきます。宇陀市遺族会もこの流れのなかで生まれ、地域のご遺族とともに歩んできました。
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現在
一般財団法人 日本遺族会
公益法人制度の改革を経て、現在は一般財団法人として活動しています。戦後80年を迎え、いまは「語り継ぐ」ことが大きな柱になりました。
靖國神社と護國神社は、どう違うのですか。
祀られている方の範囲が違います。靖國神社は全国の戦没者をお祀りし、護國神社はその道府県にゆかりのある戦没者をお祀りします。多くの方は、靖國神社と地元の護國神社の両方に祀られています。組織としては、どちらも独立した宗教法人です。
なぜ東京都と神奈川県には護國神社がないのですか。
東京には靖國神社があり、神奈川県では県の護國神社が造営の途上で終戦を迎えたため、指定護國神社が置かれませんでした。この二都県を除く道府県に指定護國神社があります。
忠魂碑と慰霊碑は、神社とは別のものですか。
別のものです。忠魂碑は、出征者を送り出した町や村が、自分たちの手で建てた石碑です。神社の境内に建っているものも多いのですが、建てたのも守ってきたのも地域の人々で、その多くを今も遺族会が清掃・維持しています。
遺族会に入ると、神社の行事に必ず出なければいけませんか。
そのようなことはありません。参加はいずれもご本人の意思によるもので、ご都合のつく範囲でご参加いただいています。
- 一般財団法人 日本遺族会(沿革・事業)
- 靖國神社(由緒、全國護國神社一覧)
- 奈良県護國神社(由緒)
このページは、遺族会と神社のつながりを初めての方にもわかりやすくお伝えすることを目的に、一般に公開されている資料をもとにまとめたものです。年号や制度の詳細については、各団体の公式の記述をご確認ください。お気づきの点がありましたら事務局までお知らせください。